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坂めぐみ(めぐ)のブログです

三方良しで人生を豊かにしていく~囚人のジレンマとフォーク定理~


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皆様こんにちは。
この度は当ブログにお立ち寄り下さりありがとうございます。

 前回のブログでは兼業・副業についてお話させて頂きました。

 今回も私が起業してから約10年間の経験を通じて体感してきた事を、皆様の実生活にとっても有益になるようにお話させて頂きたいと思います。

 

三方よしで人生を豊かに
皆様は「三方よし」という言葉をご存知でしょうか?
経営にご興味がある方や、ご自分で商売やビジネスを実際に執り行っている方はご存知かもしれません。
私は全く知らない単語でした。全く知らない単語でしたが、その意味するところの大事さは経営の現場を通じて日々感じており、とても腑に落ちるものでした。

 

三方よしとは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」を表した言葉です。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるという考え方です。
現在の滋賀県にあたる近江に本店を置き、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。

つまり自分都合だけを押し通すのではなく、相手の都合も考慮して相手にとっても最善な手を打つことで信頼を勝ち取ることになり、継続的な利益を得ることにつながると近江商人は考えていました。
さらに社会への貢献を意識することでさらに大きな信頼を獲得し、たくさんの支援を受ける中でより大きなビジョンを達成できるという行動指針です。
もし社会貢献を無視して、売り手と買い手のことだけを考えてしまうと、「談合」のような事も行われるのだと思います。
「談合」は売り手と買い手にとっては事前の話し合いで落札が確定しているので二方よしかもしれませんが、取引の公正性を著しく害し、健全な市場環境の整備するという面では、世間よしとはなりません。

 

皆様も実生活の中で、自分の都合を押し通した結果、その場では利益を得たとしても結局損をしたことはないでしょうか?
若しくは特定の人と手を組み、自分たちだけ良ければよいという発想で行動した結果、コミュニティ内の信頼を失ってしまったことはないでしょうか?

 

三方よし」の考え方は近江商人の考え方で、経営者にとっては大切な行動指針ですが、自分の人生を経営している全ての人にとっても大切な価値観だと思います。

 

囚人のジレンマとフォーク定理
続いて囚人のジレンマという言葉をご存知でしょうか?
質問ばかりでクイズ番組のような構成になってしまい大変恐縮ですが色々と共有できたら幸いです。

囚人のジレンマウィキペディアで調べると「囚人のジレンマとは、ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである」と説明されています。 

つまり協力したほうがお互いの利益になる状況でも、協力した時に自分に得られる利益よりも、協力せず裏切った時に自分に得られる利益が大きい場合、人は悩んだ結果自分の利益を優先してしまうことがある、という話です。

相手を裏切って自己の利益を優先した場合、三方よしの考え方と相反します。


しかし囚人のジレンマ三方よしの考え方も人間の本質だと思います。
それでは何が両者を分けているのでしょうか。


それは人生や歴史などの長い時間軸で物事を捉えているかどうかの違いだと思います。
その場限りの利益を考えれば囚人のジレンマに陥ってしまう可能性もあります。しかし長期的に繁栄していくことを考えれば、自然と三方よしの考え方になると思います。

人に貢献し喜んで頂ける事はそれだけで気持ちの良いものですしね。

 

そして囚人のジレンマのゲームに長期的な観点を追加したものが、フォーク定理です。
こちらもウィキペディアで調べてみると「ゲーム理論において、無限回の繰り返し囚人のジレンマ・ゲームにおいて、協力解が均衡解として成立するという理論である。有限回の囚人のジレンマ・ゲームでは非協力解が均衡解となる。」と説明されています。


つまり、囚人のジレンマのゲームに長期的な(それこそ無限回)の条件を付与すると、人は協力していくことが最善手だと理解しそれを行うということです。

 

ここではWIN-WINの関係を構築して実行していくことが、長期的に豊かに生きていくうえで重要なことだと経済学的にも経営学的にも言えるのではないでしょうか。

 

WIN-WINの関係を活かした人事評価
ここで最後に面白い人事評価制度を導入している日本の会社をご紹介したいと思います。

その会社の人事評価軸は主に3つあります。
1つは、自分に与えられた責任をどれだけ実現して、インパクトを残せたかということ。2つ目は、それを実現するために、どれだけ多くの人を巻き込んで実現したかということ。3つ目は、他者の成功やインパクトに、自分がどれだけ巻き込まれたか、貢献したかということです。

 

1つめの評価指標はなんとなく分かるものだと思います。
ただし2つめと3つめの評価指標が新しくそして本質的だなと感じました。


その会社では2つめの指標について「巻き込み力」、3つめの指標について「巻き込まれ力」とも表現しています。

そして2つめの指標の「巻き込み力」もなんとなく想像がつきます。プロジェクトを達成するために色んな人の力を借りて推進していけるリーダーは評価の対象になることでしょう。
もちろん日頃の良好なコミュニケーションがあり人的なネットワークを構築しているからこそ、色んな人の力を借りることが出来ると思います。


ここで面白いのが3つめの指標の「巻き込まれ力」が評価対象となっていることで、社員全員がセルフプロデュースしていく、ということです。
つまり自分のスケジュールをある程度公開し、さらにコミュニケーションツールを積極的に利用して「カジュアルに会話が出来る人材ですよ」とアピールしてセルフプロデュースすることで、「巻き込まれる」回数を増やし評価をあげていくインセンティブが働くということです。

仕組みがWIN-WINになりやすい構造になっているということだと思います。

一匹狼で自分の業績のことだけを考えていればよい、という働き方ではもう大きな成果は作れないのかもしれません。


因みにこの日本の会社とは、政府に先駆けて社内の働き方改革を進めてきた「日本マイクロソフト」さんです。

 

豊かに生きるために
色々な例をご紹介してきましたが、結論として自分も勝ち、相手も勝ち、社会も勝つように働きかけていくことが、巡り巡って自分の人生を豊かにしてくれる考え方だと今は強く信じています。
情けは人の為ならずという言葉もありますが見返りを求めることなく、お互い気持ちよく働ける環境を作ることが、物心ともに豊かに生きていく秘訣なのではないでしょうか。